ナポリタン・マスティフ

大型の護衛犬であるナポリタン・マスティフの系譜をたどると、紀元前3000年頃にアレクサンダー大王が率いる古代ローマ軍に参加していたローマン・マスティフという戦闘犬に行き着く。古代よりずっとイタリア・ナポリのヴェスヴィオ山裾野で生きながらえ、近代になってようやく、他のマスティフ犬種の祖先として注目されるようになった。

護衛犬としての資質は、その頑強な肉体にある。豊かな骨量、重量感がありしなやかな筋肉は、他の犬種に類を見ないパワーの源。少し動いただけでもかなりの力で引っ張られたように感じるため、散歩の際には大人でも引きずられないように注意が必要だ。

理由なく引っ張ったり、問題行動や事故を起こさないようにするためには、子犬の頃からのトレーニングが必要。自律心が強く好奇心旺盛なためトレーニングには困難がつきまとうが、愛情と規律をもってしつけ、飼い主との信頼関係を築きたい。そうすれば、「利口で、飼い主に誠実」「領地と住人を守る」という護衛犬本来の長所をいかんなく発揮してくれる。

その大きな体を健康的に維持していくためには、最低でも朝晩にそれぞれ60分以上の散歩が必要。強靭な足腰を鍛える意味でも、運動量は確保したい。被毛の手入れは意外と簡単で、獣毛ブラシでマッサージする程度で充分。顔や体に深いしわがあるので、タオルなどで毎日丁寧に拭いてあげれば、艶のある高貴なビジュアルを維持できる。